銅価格(景気を素直に反映してくれるバロメータ)
「マクロ経済がわかれば投資家としての洗練度が格段に上がる」
本日取り上げる経済指標は、「銅価格」です。
銅について
銅は人類が一番最初に利用した金属と言われています。その出現時期は紀元前7000年頃まで遡ります。製錬が容易で、加工性、耐久性に優れた銅は、武器、農具、硬貨、器、芸術品など多様な分野で活用され、文明の発展に大いに貢献してきました。
今でこそ、金属器の主流は銅ではなく鉄ですが、銅の持つ優れた特性により、現代においても銅は必要不可欠な存在です。
銅の持つ5つの優れた特性:加工性、耐腐食性、導電性、熱伝導性、殺菌性
このなかでも最も注目すべきは、やはり導電性でしょう。
金属の中で最も導電性に優れているのは、銀>銅>金>アルミニウムの順番です。銅は銀と比べてもほぼ遜色ないレベルの導電性であり、価格も銀や金などの貴金属よりはるかに安価です。アルミニウムも導電性に優れますが出火しやすいなどの問題があります。こうしたことから、銅は、電線、基板、ケーブルなど、電気の関わるところにはほとんど必ず使われているのです。
自動車で考えても、緊急停止装置、自動運転補助装置など多くの電子制御ユニットが搭載され、シートにヒーターを装備装備する車種も出てきました。自動車に利用される銅は、今後も増加が予想されます。
銅価格について
銅は金属の中では比較的供給が安定しており、インフレの影響もそれほど受けません。このため、需要が増加すればするだけ銅価格は上昇します。
企業が設備投資をしたり、個人が住宅や自動車などを購入して経済が活発になればなるほど銅の価格は上昇するということです。
逆に、経済が冷え込み、設備投資が抑制されたり、個人消費が低迷すると、銅の価格は下落します。
銅価格は、経済の先行指標として投資家が押さえておきたい指標のひとつとなります。
銅価格を経済指標として見るポイントは以下のとおりです。
・トレンド(上昇しているか、下落しているか)
・価格そのもの
まず、トレンドから。
3年、5年の中期的なトレンドを見て上昇していれば、経済状況は良好。逆に下落していれば経済が悪化していないか他の指標を注意深く観察する必要があります。
次に価格そのものに注目します。
1ポンドあたり3ドル(1トンあたり約6600ドル)以上であれば、銅価格は高い状態であり、需要が旺盛であると言えます。
逆に、1ポンドあたり2ドル(1トンあたり約4400ドル)を下回ってきた場合は、需要が低迷してきたことを示します。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)のCMEグループのウェブサイトで銅先物価格が日々公表されています。
現在のLME銅スポット価格は3ドル前後で取引されており、CME銅先物価格を見る限りでは先高感があります。ですから、現時点では経済状況はまだ良好と捉えることができます。
- カテゴリー:投資支出
- タイミング:景気実態より先行
- 発表時期:毎営業日
- 注目ポイント:銅価格の上昇、下落トレンド。1ポンドあたりの銅価格(3ドル超、2ドル未満)
- 指数の意味:企業の設備投資、個人消費の動向(上昇:景気拡大、下降:景気低迷)。
- ノイズ発生:天災や鉱山でのストなどの発生により、一時的に供給不足となり価格が上がることもある。
- 投資アクション:
上昇中 銅関連、資本財の株を買う。
下降中 銅関連、資本財の株を売る。