ドミニオン(D)によるスキャナ(SCG)買収の行方(注目)
経済的な濠(Mort)を持っていても、何らかの悪材料、不安材料を持っている銘柄は、時として想定以上に売り込まれるものです。
また、現在の米国は景気拡大によるインフレ抑止のために利上げ局面に差し掛かっているため、公益、生活必需品セクターは、それを先読みしてかなり売り込まれてきています。
今週末、そんななかで気になった銘柄があったので、簡単に取り上げてみます。
米国屈指の総合電力持株会社。
米国の東部地域での顧客への電力、天然ガスの生産および輸送を展開している。発電容量の約24,300メガワット(MW)を含み送電線6,500マイル。電気配電線の57300マイル。
スキャナ・コーポレーション(SCG)
米国サウスカロライナ州に本社を構えるエネルギー持ち株会社。子会社の電力会社はサウスカロライナ州の顧客60万人に電力供給しており、ガス会社は、サウスカロライナ、ノースカロライナ、ジョージア3州の顧客100万人にガスを供給している。
ドミニオンは、2018年1月3日にスキャナを株式交換により買収することを発表しています。スキャナ株主は、1株あたり、ドミニオン株を0.669株受け取ることができるとしたため、前日の終値38.29ドルから翌日の発表直後46.94ドルまで22.5%も急騰しました。現在は、規制当局と株主の承認待ちの状態です。
通常、企業買収で株式交換をする場合は、その交換比率にさや寄せする形で両社の株価は収束していきますが、現時点での市場の評価は、そうなっていません。
2018/4/13 終値
ドミニオン $63.94
スキャナ $35.90
ドミニオン(日足)
ドミニオン(週足)
スキャナ(日足)
スキャナ(週足)
買収側のドミニオン、身売り側スキャナのどちらも、相当売り込まれています。
本来、ドミニオンの株価が適正であれば スキャナ株は42.77に近づきます。
スキャナの株価が適正であれば、ドミニオンの株価は53.67へ近づきます。
現状はどちらの株価も下降トレンドが続いています。
これは、スキャナがVCサマーに2022年と2024年に完工予定であった2基の原子力発電所が、2017年3月にウェスティングハウスの米連邦倒産法第11条にもとづく破産申請により、建設中止になったためです。株主および住民からの訴訟そのリスクに嫌気した投資家の売りと、投機筋による売り浴びせが継続しているためと考えます。
ショート筋の傾向を見ると、ドミニオンは空売りが増加しているのに対して、スキャナは逆に減っています。ここから推測すると、スキャナは売られ過ぎの(もしくはそろそろ底を打つ)可能性があるのに対して、ドミニオンはもう少し底値を探る展開が続きそうです。
この買収が年内に成立するかどうかによって、両社の株価の動きにも影響がありそうです。今後も注意深く見ていこうと思います。
補足:現時点で、私のスタンスは監視です。買いポジションは一切持っていません。
参考)両社の昨年までの10年間の各種指標
ドミニオン 売上高、営業CF、純利益
ドミニオン 一株あたりの指標
ドミニオン CF
ドミニオン 配当
ドミニオン 配当性向
スキャナ 売上高、営業CF、純利益
スキャナ 1株あたり指標
スキャナ CF
スキャナ 配当
スキャナ 配当性向