米国株 今後の戦略(実践編:生活必需品セクターへの投資)
前回の記事で、もしアクティブ運用するなら、ディフェンシブ銘柄をですと取り上げました。今回はその流れで、じゃあ、具体的に生活必需品セクターに絞って、もし個別銘柄に投資するならどれがいいのだろうかを考えてみます。
ディフェンシブ銘柄とは
そもそもディフェンシブ銘柄というのは、景気の動向に関係なく必要とされるモノやサービスを提供する企業の株式を指します。
一般的には、下記セクターの銘柄を指します。
ヘルスケア、生活必需品、電気通信、公益
仮に米国株を今年の年初から始めた方がいたとします。
米国株ブログを公開されている方は生活必需品セクターの高配当株による再配当投資の手法が多く、その方もとりあえず生活必需品セクターのETF「VDC」に投資。すぐに数万円の含み益が出ました。
「ちょw米国株、簡単w」
と思った矢先に急激な金利上昇とそれに伴う高配当の生活必需品セクターの売り浴びせ。はい、投資を始めてからたった4ヶ月で、-10%の含み損の出来上がりです。
VDC(生活必需品セクター)のポートフォリオ VS VOO(S&P500インデックス)
2018年年初来リターン(配当込み)
折しも、日本一アンチの多い米国株カリスマブロガーのバフェット太郎さんの著書「バカでも稼げる『米国株』高配当投資」が発売されたのが4月28日。
「おい!バカでも稼げるじゃないのかよ!」という阿鼻叫喚が聞こえてきそうです・・・
いや、そんなことより、私もバフェット太郎さんの本が読みたくて、発売日から数日後、街で一番大きい本屋に行ったのですが、本が見当たりません。
重版決定って言っていたので、結構売れてるんだな、アンチは多いがやはり注目度は抜群ですね、わかります。店員さんに次、いつ入庫するのか聞いてみると
店員さん「申し訳ありません。現在取り扱っていませんので在庫がございません。もしよろしければお取り寄せいたします。」
私「え・・・? ああ、そうなんですね・・・」
まさかの取り扱いなし。バフェット太郎さんの名誉のために行っておくと、私の住んでいる街(人口30万人以上の地方都市)では、いまだ米国株投資はマイノリティ。米国株四季報ですら書店には並ばないのである。前回は取り寄せてもらったが、もう次回からアマゾンでポチることにしました。書店にわざわざ買いに行ったのに希望の本が無かったときの絶望感、いやその前に書店の隅々を探し回った時間を返して・・・
話がそれました。すみません。
生活必需品セクターは、ディフェンシブ銘柄の王道
今回は、もし生活必需品セクターの個別銘柄に投資するならどれにしようかという話です。
現在、米国の金利上昇を受けて、株式市場全体が軟調ですが、特に高配当銘柄は売られ気味です。
生活必需品セクターの銘柄は高配当株が多いため、金利上昇が株価に大きな影を落としています。
さらに、先日のフィリップ・モリス・インターナショナルの決算で紙巻きタバコから電子タバコへのシフトが想定よりも進んでいないことが投資家の失望売りにつながり、タバコ銘柄全般への売りへとつながっています。
また、アマゾンなど小売りによるプライベート・ブランド商品投入により、生活必需品のブランド勢の高価格維持が難しくなってきており、レッド・オーシャン化による利益率低下の懸念も投資家の中で意識され始めています。
「生活必需品セクターはオワコン」、「投資先には不適格だ」という声が聞こえてきそうです。少なくとも投資初心者でもし個別株投資をしている方がいたとしたら、そう思っても仕方がない状況になっています。
だからこその「生活必需品」セクターを押していこうと思います。
なぜ、今「生活必需品」セクターを押すのか
それには理由があります。
高配当株の配当再投資による「複利」効果を享受できることが挙げられます。
こちらは、米国の高配当株式、成長株式のそれぞれを配当再投資しないで持ち続けた場合のキャピタルゲイン、インカムゲインの比較。両者、それほど変わりはありません。
引用:JPモルガン・アセット・マネジメント(株)
そして、こちらは、配当再投資をどちらもおこなった場合のリターン比較。
あきらかに高配当株の再投資の方がリターンが大きいことが分かります。
期間が長ければ長いほど、この「複利」の力がボディブローのように効いてきます。
そして、ここ最近の高配当株の不調ぶりは、絶好の買い時だとは言いませんが、割高な状況が解消されたと見ています。
そして、この先間もなくして不況になったときに、株式市場で相対的に高配当株が優位になります。
生活必需品セクターの企業の主な指標を比較してみた
生活必需品セクターの企業の主な指標です。
米国の生活必需品セクターの企業はいずれもキャッフローが潤沢で、フリーな資金を毎年生み出すキャッシュ・マシーンだと言えます。
それら資金を配当および自社株買いにして株主に還元しています。
配当再投資では配当利回りにだけ注目しがちですが、今回は、配当+自己株買いの合計の利回り(2018年見込み。Morningstar.comより引用)および過去10年での株式数の減少率、および過去5年間の営業CFマージン(売上高に占める営業CFの割合)の平均で比較してみます。
分かりやすいようにバブルチャートにしてみます。
個人的には、オレンジ色の矩形で囲んだ銘柄群が買ってもよいのではないかと考えるものになります。
付録:週足チャート
MO アルトリア(週足)
PM フィリップ・モリス・インターナショナル(週足)
KMB キンバリー・クラーク(週足)
PG P&G(週足)
WMT ウォルマート(週足)
CL コルゲート・パルモリーブ(週足)